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シンママが感じる「後ろめたさ」を解消したい!自己効力感を育むポジティブなコミュニティ運営

2024年07月12日(金)

「シンママをポジティブな選択肢へ」というビジョンを掲げる任意団体「LINQURE(リンキュア)」の代表、佐藤笑美里さん。お子さんが0歳の時に離婚し、それを機にキャリアチェンジし現在に至るまでのお話や、笑美里さんの原動力について聞きました。

口約束で離婚するも、娘の将来を思い現在調停中

――まずは笑美里さんの離婚について聞かせていただけますか。

新卒で大手旅行会社に就職し、24歳の時に学生時代からお付き合いしていた方と授かり婚のような形で入籍したのですが、その後1年弱で離婚しました。

娘が1歳になる前のことでしたが、養育費や面会交流については口約束。離婚届を記入し、協議離婚しました。

――口頭で交わした約束は今もスムーズに行なわれていますか。

離婚後一年ほどは、当時1歳の娘に私も同行する形で面会交流を定期的に行なっていたのですが、私のメンタル的な部分とコロナで面会交流の継続が難しいと感じるようになり、一旦中止したいと伝えたところ、養育費の支払も止まる形となりました。

けれども、私としてはやはり面会交流は行なった方がよいと思いますし、娘のものである養育費も算定表に則って決めるべきだと思い、現在調停を申立てているところです。

離婚を機にキャリアチェンジ、自分が「実現したいこと」に気付く

――離婚後から現在までのキャリアについて教えてください。

旅行会社を育休中に離婚したのですが、離婚を機にキャリアを見つめ直しました。私一人で娘を育てていくことになるので、娘に何があっても対応できるように在宅で働ける仕事に就けるようWebデザインを学び、転職しました。

※写真はイメージ(iStock.com/eclipse_images)

同時に、自分の離婚経験を周りに話すと相談されることが増えてきたので、シンママさんのために何かできないかと考えるようになったのです。そこでコーチングの資格を取り、SNSで募集をかけシンママさん向けのコーチングを始めました。

シンママさんたちのお話を聞くと、やはり悩みの多くは育児か仕事。私自身、どのような仕事がありどのようなキャリアの積み方があるのか知らない部分が多かったので、そのあたりの学びを深めたいと思い、キャリアアドバイザーとして人材業界に転職しました。

そこでは学生さん向けの就職支援を行なう部署を希望しました。なぜかというと、社会人の場合は1、2カ月の短期間で就職支援を行なうのですが、学生さんの場合は就職に向けて1年ほどじっくりとご本人の内省を深める支援ができたからです。

そこで改めて感じたことは、私自身は「その人の実現したいことを支援するスキル」を身につけたいということでした。

今はご縁があり、女性活躍推進を積極的に行う企業で採用や集客、SNS運用を担当しています。

どんなキャリアを積んでも「何とかなる」

――女性がキャリアを重ねることは大切ですね。

今は「若いうちにキャリアを積んで30代以降でライフイベントを迎えよう」といった風潮がありますが、私は個人的に「どんな選択をしても何とかなる」と思っています。

私は社会人2、3年目で子どもを産み、育休も2年ほど取得したので、ほとんどキャリアを積んでいない状態でライフイベントを迎えました。多くのシンママさんたちとお話する中で感じるように、私自身、やろうと思えばどうにでもなると実感しています。

※写真はイメージ(iStock.com/west)

――ただ、一人で家事育児をこなしながら、働き方に悩んだり不安に思ったりする方も多いのではないでしょうか。

漠然とした不安があるならば「その不安はなぜ不安なのか?」と言語化することも大事です。人生には無数の選択肢がありますから、一人で考えつく選択肢の引き出しには限りがあります。

キャリアの不安ならキャリアカウンセラーに、お金のことならファイナンシャルプランナーに相談してみるといいでしょうし、人生のことならコーチングを受けてもいいと思います。

自分の中にたくさんの引き出しを用意した上で、自己内省を深め「自分がどうしたいか」を明らかにし、自分自身で選び取ることが大切です。

子育て中のシンママが主体のコミュニティ

――LINQURE(リンキュア)では、キャリアアップイベントやコミュニティ内での雇用創出も行なっているそうですね。

シングルマザーへの手助けが必要な部分はあるのですが、ずっと「支援を受ける側」に位置づけられることで自己効力感が削がれてしまうこともあります。やはりシングルマザーの私たちが主体的に関われる場所があるといいなと思い、コミュニティを立ち上げました。

――LINQUREはどのような形で始動したのですか?

2022年の時点で、X(旧Twitter)のグループ機能を使い私一人でシンママさん向けに小さなお話会を開催していたのですが、一人でやるよりもみんなを巻き込んだ形で展開したいと思い、同じシンママのいっちゃんたちにお声がけして今のLINQUREの形になりました。

オンラインと対面でポジティブな交流

――コミュニティ内ではどのような交流が行なわれているのでしょう?

現在はシンママ予備軍含め30名弱の第一期メンバーがいて、チームコミュニケーションツールのslackを使っています。

たとえば「面会交流部」というチャンネルでは、「これから調停に行ってくる!」というメッセージに励ましの言葉を送ったり、「これから調停をする」というメンバーがいれば「こういうことに気を付けた方がいいよ」とアドバイスをもらえることもあります。

養育費については、コミュニティ内のファイナンシャルプランナーさんから「運用したいのであれば自分の口座を振込先にした方がいい」といった具体的な助言もありました。

また、「近くに頼れる人がおらず、自分が病気になったらどうしよう……」というシンママならではの悩みもあります。コミュニティには全国から参加があるのですが、先日はコミュニティで知り合った同じ地域のメンバーが「何かあった時にはよろしくね」とオンライン上で交流している様子も見られました。

LINQUREのオンライン交流会の様子

――先日は対面の交流会もあったそうですね。

初めてだったので比較的小規模でしたが、「つながり」を持つことの大切さを再認識した時間でした。

コロナの影響もあると思いますが、今は地域の人たちとつながりにくい社会だと感じます。そんな中、交流会を通して顔見知りが増えることで、地域に頼れる人ができたり、少しでも気にかけてくださる人がいたりすると、自分に万が一のことがあっても子どもは大丈夫だと思えるようになる。地域にこうしたつながりが持てることは、交流会の良さだと思います。

――今後も開催予定はあるのでしょうか?

今のところ、2024年の3月までは毎月第3土曜日に開催することが決まっています。その後は開催場所の都合で検討中ですが、継続していく予定です。

理想は「そこに行けば誰かいる」という場になればいいなと。予約をしなければいけないとなると、結構負担になると思うんですよね。子どもが小さいと予定通りに進まないことはよくあることなので、行こうかなと思った時に気軽に集える場所を目指しています。

あとは、コミュニティのメンバーが主体となりイベントも開催したいと思っています。自分たちの発想を実現する成功体験は、次の原動力に繋がりますから。

「シンママをポジティブな選択へ」社会の認識を転換する

――今後はLINQUREをどのようなコミュニティにしていきたいですか?

LINQUREは「シンママをポジティブな選択へ」というビジョンで活動をしています。

「シンママはかわいそうな存在」というネガティブな社会的イメージが、シンママさんたちの後ろめたさに繋がっているのかなと思いますし、私がそうだったように、これからシンママになる方の漠然とした不安になっていると感じます。

離婚やシングルマザーというとネガティブな話題になりがちですが、実際には当事者同士のLINQUREのコミュニティでは「がんばろうね!」という声掛けが多いです。周りからネガティブな要素だと思われたとしても、ポジティブに変換できる場はすごくいいなと。

※写真はイメージ(iStock.com/maruco)

離婚することは悪いことではないと思うんですよ。捉え方次第では、それが「次への一歩」になり得る。私たちは、これからもそう発信し続けたいと思います。

――最後に、笑美里さん個人のビジョンを伺ってもいいですか?

これからさらに女性活躍が進む中で、離婚する方はおそらく増えていくでしょう。もしかしたら私の娘もシングルマザーになるかもしれない。私が今、大変だと感じている部分を、シンママになる確率が0ではない娘のためにも変えていけたらいいなと思っています。

また、「シンママ」といっても一人ひとり違います。シンママ、女性、男性……そうしたカテゴライズがもっとフラットになればいいなと。

自分が本当はどうしたいのか、何をしたいのか。肩書によって見えなくなってしまうことが多いと感じるので、「自分の心の声に素直に」生きていける人を増やしていきたいです。

 

この記事は2023年12月27日に公開しました。